【11.13】八王子・多摩・町田市プラスチック廃棄物圧縮処理施設問題 ― 2005/11/12 00:02
先日投稿した、町田のプラスチック廃棄物圧縮処理施設問題の続報です。転載します。
頂いたのがワードファイルだったので、長くなってしまった!
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皆さん、13日が勝負です!
「町田市廃プラ施設問題を考える八王子・多摩・相模原・町田市民の会」広報係:本橋哲也(南大沢在住、東京都立大学勤務)
13日の日曜日は晴れますね。
ひょっとして皆さんの中には、13日は問題を考える集会だし、10月23日の説明会と違って、それほどたくさんで押しかけなくてもいいんじゃないの、と思っておられる方がいるかもしれません。でもそれは大きな間違いだと思います。
もしそのような他人任せの人が多くて仮に数百人しか日曜日に集まらなかったとしたら、この廃プラ施設は確実にできてしまいます。数千人なら少しは希望が生まれるので、これからも長期戦で闘う準備ができるでしょう。そして、もし今夜と明日と当日の朝と、私たちがあらゆる努力を払って声を掛け合い、もし1万人を超える人数で集まることができるとしたなら、この施設建設計画は一気に頓挫します。
13日にはTBS、日テレ、NHKをはじめ、テレビ・新聞各社がやってきます。そのカメラの前で万単位の人波を見せることができれば、それは確実に町田市行政を追いつめ、勝利への道につながることでしょう。
私たち自身の生活です、未来です、そしてプラスチックごみは私たち自身が毎日出し続けているのです。私たち自身がそれについて考え、その処理について責任を持つ権利を獲得する最大のチャンスです。
あと2日間、電話、ファックス、メイルとあらゆる手段を動員して、13日には1万人以上が集結するよう呼びかけようではありませんか!
最後まであきらめず、しかし余裕と笑いをもって頑張りましょう。
町田市廃プラ施設問題を考える八王子・多摩・相模原・町田市民の会
町田市小山ヶ丘廃プラスチック中間処理施設問題資料
町田市小山ヶ丘
廃プラ施設
ここが問題!!
0. ゴミ問題はみんなの問題:私たちの目指すもの
1. 廃プラ中間処理施設は本当に安全なのでしょうか?
〈プラスチックをただ「圧縮する」だけでも、様々な有害物質が発生する!〉
〈現在の技術では、発生した有害な化学物質を完全には取り除けない!〉
〈すでにある廃プラ中間処理施設の周辺では、何の問題も起きていないの?〉 ☆☆ところで、「杉並病」ってなに?☆☆
2. 町田市の行政上の問題点:何故住民たちが立ち上がったのですか
〈二つの地域で建設が阻止される〉
〈三度目に小山ヶ丘に?〉
〈市の説明逃れと条例違反〉
☆☆「町田市住みよい街づくり条例」ってなに?☆☆
〈1万3千人以上の署名つき要望書の提出〉
〈市主催の説明会は「懇談会」に、・・・そして用地は業者の手に〉
☆☆ちなみに業者の安全意識は?☆☆
3. 廃プラスチック中間処理施設なんていらない…ですましていいの?
〈問題点はどこにある?〉
〈廃プラスチック中間処理施設にたよらない方法を求めて〉
0. ゴミ問題はみんなの問題:私たちの目指すもの
今、町田市はプラスチックゴミの中間施設の建設を、多摩丘陵の西端に計画しています。これは町田市民のみならず、隣接する八王子・多摩・相模原市民にも健康被害が懸念されるものです。町田市には「住み良い町づくり条例」という市民と行政が協力し住環境をつくりあげることを唱った、すばらしい理念があるにも関わらず、この計画は住民不在のうちに進められました。このパンフレットは、廃プラスチック中間処理施設問題に関して町田市の行政上の問題点、施設の安全性に関する基礎知識、そして、プラスチックゴミ問題に対する代替案をまとめたものです。
誰もこのような施設を近所に作ってほしいという人はいないでしょう。でも、「ウチでなければいいから、どこかに作っておいてよ」、「どこかで処理しているから、ダイジョウブ」という安易で無責任な発想で、ゴミを出し続けていては問題は解決しません、いずれどこかで私たちはツケを払うことになるでしょう。私たちは、行政とともに知恵を絞り、手間をかけ、汗をかき、この問題に取り組んでいく、その第一歩としてこの運動を立ち上げました。
プラスチックゴミ処分の問題にはまだ100%の正解はありません。だからこそ、行政だけではなく、市民の取り組みによって解決される部分もかなりあるはずです。私たちの命と健康だけではなく、私たちの子どもたち、そして、その子どもたちの命と健康のために、今できることを模索していくことは、行政・住民の区別なく私たち全てに与えられた使命でしょう。この問題を契機に、私たちの住む多摩地区がこのような取り組みのモデルとなることこそ私たちの願いです。
1.廃プラ中間処理施設は本当に安全なのでしょうか?
さて、町田市が建設を進めようとしている廃プラ中間処理施設ですが、これまでに得られている科学的知見をもとに考えてみると、とても安全なものとはいえません。
〈プラスチックをただ「圧縮する」だけでも、様々な有害物質が発生する!〉
かつてプラスチックの圧縮処理は、「燃やしたり熱を加えたりするわけではないので、何ら有害な物質は発生しない」と考えられていました。ところが、それは大きな誤りだったことが、杉並病の社会問題化をきっかけに明らかとなったのです(参考資料1)。
プラスチックが圧縮されると、こすれたり、つぶれたり、やぶれたりすることで、様々な化学物質が発生します。しかも、それらの化学物質の中には、人の体に害のあるものも多数含まれているのです。このことは、不燃ごみのような様々な「混じりもの」を含まない、純粋なプラスチックを使った実験で確かめられています(参考資料2,3)。
「杉並中継所の圧縮処理はプラスチック以外の不燃ごみを含むが、今回計画している施設はそれを含まないため、杉並病を引き合いに出すのは不当だ」という意見があります。確かに、両施設は全く同一のものではありません。しかし、圧縮されたプラスチックそのものから様々な有害物質が発生するわけですから、杉並病と同様の健康被害が生じることは十分にありえるのです。また、北河内4市リサイクル施設組合が行った、実施設による廃プラ圧縮の模擬試験では、様々な有害物質だけでなく、毒性のわからない未知の化学物質も数多く発生しています(参考資料4)。つまり、今回町田市で建設が計画されている廃プラ中間処理も、操業が始まれば、プラスチックの圧縮過程で有害な物質が「発生する」ことはまちがいないでしょう。
〈現在の技術では、発生した有害な化学物質を完全には取り除けない!〉
次に問題となるのが、発生した化学物質を外へ出さないために、きちんと取り除くことができるのか、ということです。北河内4市リサイクル施設組合が行った実験では、活性炭により、廃プラ圧縮処理によって発生した化学物質の90%以上が除去されたとしています(参考資料4)。しかし、その中には未知の化学物質も多く、たとえ90%除去できたとしても、残りの10%の化学物質群がどれほどの影響を及ぼすかについては、現在の知見では判断できません。また、処理するプラスチックの量が増えれば、「10%」に相当する絶対量も増えるため、この「90%以上が除去された」という結果も、周辺環境への安全性を証明するものではありません。しかも、これは新品の活性炭を用いた実験結果です。除去能力は徐々に低下していくのが普通ですから、周辺の大気中へ出ていく化学物質は、活性炭を交換するまで(杉並中継所では約1年で交換;参考資料1)、日に日に増えていくと言って良いでしょう。
また、杉並中継所のデータでは、化学物質の種類によっては、活性炭による除去効果がほとんどないことが示されています(参考資料5)。つまり、現在の除去技術の性能には限界があることは明らかであり、活性炭を用いるから「安全である」「周辺環境に影響を及ぼさない」などという主張は全く成り立たないのです。
〈すでにある廃プラ中間処理施設の周辺では、何の問題も起きていないの?〉
当会のメンバーが、町田市が計画しているものと同様の廃プラ中間処理施設を視察したところ、施設周辺では草木が枯れ、自身も喉や目の痛みを感じたそうです。これはあくまで感覚的・視覚的なものであり、科学的な調査を行ったわけではありませんが、これは無視できない事実であると考えます。
杉並中継所周辺の大気を調べた結果から、他の地域の大気には通常見られないような、特有の化学物質が大量に含まれていることが明らかになっています。しかもその内容には、人の体に有害な物質だけでなく、未知の化学物質も見られます(参考資料6)。他の廃プラ中間処理施設においても同様に、周辺の大気中に有害物質が含まれ、それによる健康被害が生じている可能性は大いにあります。ただ、杉並以外では、大気の分析や、健康被害の疫学的な調査がほとんど行われていないのです。
しかし、「すでに全国で多数稼動している廃プラ中間処理施設において、周辺で健康被害が起きているという話を聞かない」というのは、安全性の説明としてはあまりに稚拙です。なぜなら、それは「聞いていない」のではなく、「(調べるべきなのに)調べていない」だけなのですから。
参考資料
1. 燃やさないプラスチックゴミ処理から環境汚染物質が発生する機構─表面科学からの考察、津谷裕子
2. 廃プラスチックの圧縮処理過程において発生する化学物質に関する研究、崎山大輔、東京大学大学院平成16年度修士論文
3. 摩擦によりプラスチックから発生する化学物質に関する研究、中島大智、東京大学大学院平成16年度修士論文
4. 北河内4市リサイクル施設組合専門委員会報告書、平成17年3月
5. 杉並中継所における活性炭使用前後の濃度比較による除去効果の考察、「廃プラ処理による公害から健康と環境を守る会」事務局
6. 杉並病の調査結果の解読、津谷裕子・化学物質による大気汚染を考える会・加藤光ニ・杉並病裁判原告予定団
☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ところで、「杉並病」ってなに? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
本文でも触れた不燃ごみ中継所が、1996年春に杉並区井草にできてまもなく見られるようになったもので、主な症状は、目や喉の痛み、視力障害、めまい、皮膚のかぶれ、頭痛、倦怠感、呼吸困難など多種多様で、その症状・程度も個人差が非常に大きいのも特徴です。都の調査委員会は中継所の汚排水からの硫化水素と公園の防腐剤を原因としていますが、プラスチックごみの中間処理の過程で発生する様々な化学物質がこのような症状を引き起こしている可能性を指摘する科学者もおり、懸念は払拭されていません。実際に、病態・原因ともに未解明で、国内外において今も研究が続けられています。いわゆる「シックハウス症候群」などと同じ「化学物質過敏症」の一つであるという可能性があるのです。
町田市が計画している施設は杉並のものと同じではありませんが、プラスチックを圧縮処理するという点からすると、同様のリスクがあるということは言えるでしょう。ちなみに、杉並区は杉並中継所の廃止を発表しています(2014年度をめどに)。
2. 町田市の行政上の問題点:何故住民たちが立ち上がったのですか
私たちは大切な家族と共に「健康で文化的かつ個性ある地域生活を享受」(町田市住みよい街づくり条例第二条)するささやかな夢をはぐくみながらこの緑豊かな地で生活してきました。家族の幸せと健康を願う私たちの思いは間違っているのでしょうか。
市民の人間として当然のいのちと安全を守るために市の行政はあるはずです。それと同時に今日とみに緊急性を増しているゴミの問題はまず私たち住民の問題です。どうしたら環境の負荷が少ないような実効ある取り組みが可能かを、住民は生活の中から模索し行政と協力して広く専門家の考えを聴取しながら、その場しのぎではない中・長期的な展望をもって早急に取り組むべき課題であると確信しています。そのような住民に開かれた姿勢を期待される市の行政が、その行政がますます増加するプラスチックゴミを前にして、その減量や総合的な解決策を市民と共に真剣に探す街づくりとは反対に、安全性も確認しないまま、一地域をいわば切り捨て住民のいのちと生活の犠牲を強いる形で廃プラ処理施設を秘密裏に作ろうと進めて来たことが発端でした。
これまでの経緯
〈二つの地域で建設が阻止される〉
町田市はまず小山田桜台地区、ついで鶴間地区を候補地として選びましたが、いずれも施設による健康被害を危ぶむ住民の強い反対にあって撤回に追い込まれたいわくつきの処理施設です。これに懲りた市は、施設の安全性を検証しないで建設を急いだことが住民の反対を招いた原因であるにもかかわらず、これまでの5年間、安全性の追及の努力を怠ったまま、今回は住民に知られないように秘密裏に建設計画を進め、住民が気づいたときには後戻りができないような法的契約や手段を先行するという、最悪の方法を決定したのです。
〈三度目に小山ヶ丘に?〉
まず町田市は2004年11月に処理用地の候補として小山ヶ丘2丁目を打診し始めました。その地が八王子市の第一種住宅地域100メートル以内の至近距離であり、多摩市や相模原市とも隣接している地であること、子供たちが恵まれた自然環境の中で学び遊ぶ学校や公園が密集していて中学校建設予定地のすぐ傍であることすら思い至らなかったようです。
市は今年(2005年)の5月26日に東京都と協定書を結び、6月10日委託業者として業者を決定しました。市の決定を受けた東京都・多摩ニュータウン土地処分委員会は都有地E-7を業者に処理施設用地として売買を決定し、7月26日には東京都が業者と契約を結びました。業者は保証金として土地代金の20%を支払い、3ヵ月後の10月26日に残金を払えば土地は民間業者のものとなる契約内容だったのです。
〈市の説明逃れと条例違反〉
このような段取りを済ませた後で、市は昨年施行されたばかりで住民になじみのない「住みよい街づくり条例」の規則を使って9月28日に、佐久間による説明会を実施し、はじめてこの廃プラ中間処理施設の建設計画を付近の関係住民に知らせることにしました。しかし、その説明の対象となる関係住民は、半径50メートル以内のカインズ、オートウエーブ・・・といった僅かな法人関係者等(地元の町内会・小山連合の代表も含む)だけでした。その会合を漏れ聞いて急遽駆けつけた多くの近隣住民は、市が欠席したままで業者側のみによる説明に納得せず、こうした責任逃れに激しく抗議して説明会は不成立に終わりました。
市は住民に対するこの件で始めての大事な説明会に出席しない理由として、これも「住みよい街づくり条例」の規則を盾にとって、関係住民に対する説明会は事業者、すなわち佐久間が行うことであると釈明して、住民の批判の矢面から逃れようとしました。しかし市の清掃事業の一環としての事業である以上、事業者としての責任は市にあることは明白です。しかも、市は佐久間が都と売買契約する際に必要とする資金の銀行融資を受けるために「受託候補者決定通知書」を発行し、契約の便宜を図っている一体的な関与から見ても、市は民間業者に委託したのだから事業者は佐久間で、市には事業者としての説明責任がないというのは筋の通らない無責任な話です。
多くの住民の強い批判を招いて、市は、地元住民に向けた市主催の説明会を10月23日に行うことにしました。
☆☆☆☆☆☆☆☆ 「住みやすい街づくり条例」ってなに? ☆☆☆☆☆☆☆☆
町田市はホームページでこの条例を「市民、事業者、市が一緒になって(協働により)、お互いの責任や義務(責務)を尊重しながら、住民主体の取り組みを推進し、地域や地区の個性を生かした住みよい街づくりを実現していくための仕組みを条例として定めたものです」と説明しています。
その条例の中に(市の責務)と書かれた部分には、次のような条項があります。
第4条 市は、この条例に基づいて実施する街づくりに関し、市民が参加する条件を整備し、市民の主体的な街づくりの推進に必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 市は,街づくりに係わる施策を総合的かつ効果的に推進するため、地域及び地区の状況、街づくりに係わる施策の実施状況その他街づくりに関する情報の収集、調査及び研究を行うとともに、市民に対する積極的な情報提供に努めるものとする。
3 市は、この条例に基づいて実施する街づくりに関し、市民及び事業者の意識を高めるために必要な措置を講じ、理解及び協力を促すよう努めるものとする。
論語読みの論語知らずという言葉がありますが、町田市自身が「住みよい街づくり条例」に大きく違反していることを認識すべきです。
〈1万3千人以上の署名つき要望書の提出〉
9月28日の時点でようやく事態の重大さを知った近隣住民たち(町田市および至近距離に位置している八王子市の住民たち)は10月26日の業者の残金決済をもって土地の所有が佐久間に移るのを阻止しようとすると同時に多くの住民がこの計画に反対であることの意思を表明するために署名による要望書を提出することを合議し、わずか数日間で1万3千人以上の署名を集め、10月20日に東京都の石原都知事・都市整備局長と、町田市の寺田和雄市長宛に要望書を持参しました。
しかし、都は町田市からの要請・推薦に従い既に佐久間と7月に売買契約を締結済みであり、都が現時点で契約解除することはできないという態度を覆すには至りませんでした。但し、住民は9月28日に至るまでこの廃プラ処理施設建設のことを全く知らされず、計画進行の前提条件である住民への周知がなされず、しかもそれを知った住民の多くが署名人数にも表れているように反対を表明しているのであるから、住民の理解・同意という基本が崩れている現実を強調しました。それに対し、都の担当責任者は、町田市は事業責任者として住民に十分説明を行うべきであり、その点は都からも伝えると言う回答でした。都の説明によると、用地の売買は処理施設の認可を意味するものではなく、佐久間が断念するか、市が操業を許可しない可能性が排除されたわけではないということでした。
町田市役所では、市長宛に要望書を持参した3人の住民代表のうち2名しか入室させない、規則に違反したら警察を呼ぶといった高姿勢で低次元の対応でした。
〈市主催の説明会は「懇談会」に、・・・そして用地は業者の手に〉
10月23日に町田市の市民文化センターで開かれた市主催の説明会には、3日前に1万3千人の署名が届いているにもかかわらず沈黙したままの市長は、参加住民の再三の強い要求に応えることなく最後まで姿を現さず、鬼頭清掃部長のみの出席でした。会場は漏れ聞いて危機意識を持って駆けつけた多数の住民や、処理施設の影響を至近で強く受けるのに全く対象外にされていた八王子の四季の丘や南大沢、相模原市、多摩市の住民を含め千数百人で溢れ、入りきれない状況でした。住民の合意なしで事を進めておきながら、事後に『説明した』と言う形をとるだけのセレモニーとしての『説明会』を認めないという強い抗議に、市も「説明会」から「懇談会」(話し合い)に切り替えざるをえなくなりました。
この会合での住民の強い反対にもかかわらず、町田市の斡旋で東京都が業者と用地の売買契約を7月に交わしていた結果10月26日には残金の支払いと同時に用地の所有権は業者に移行してしまいました。佐久間が取得を断念すればこの売買契約も解約になった筈ですが、会場に居合わせた佐久間社長は「何があろうと操業に向けて粛々と手はずを整える」旨断言していました。事実この計画がつぶれても業者は違約金として町田市から相当額を支払われるため、今の時点で断念する筈のない筋書きでした。前回の候補地の鶴間の時も、町田市は計画の中止に伴い市民税から一千万円近い違約金を業者に支払っています。住民への説明の手順を後回しにした間違った行政の付けが市民の負担を招いています。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ちなみに業者の安全意識は? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
今回事業を請け負う業者は、千葉で稼動中の同様の処理施設でも、義務はないとして、大気・水質・土壌汚染調査を今までに一度もしていません。町田市で稼動しても、そのような義務はないので、一切汚染状況のデーターは取るつもりはないそうです。都の許可を得て稼動する以上、何か今後問題が生じても、たとえ住民の命に関わる健康被害が出たとしても自分たちには責任はないと、これまで問い合わせた住民に答えています。
3. 廃プラスチック中間処理施設なんていらない…ですましていいの?
最後に、どうすればこの施設をつくらずにすむのかを考えてみましょう。「安全性が確認されていない施設を建てるべきではない」というのは確かに正論です。が、施設の計画をただ中止に追いこめば良いかというと、この問題はそんなに簡単なものではありません。
〈問題点はどこにある?〉
そもそも、なぜ廃プラ中間処理施設が建てられようとしているのでしょう?もちろん「わざと環境を壊すため」ではありません。それなりの理由があってのことなのです。
今や私たちの暮らしに欠かせないものとなっているプラスチック。その便利さについては、言うまでもありません。しかし、それらはいつかごみになる日が来ます。何らかの方法で処分をしなければ、私たちの家はプラスチックごみでいっぱいになってしまうでしょう。
そこで、焼却や埋め立てを行うわけです。ところが、プラスチックを焼却すると、高温になるため炉を傷めたり、有害なガスが発生したりします。また、埋め立てるにしても、最終処分場を無尽蔵に増やせるわけではなく、その限界が刻一刻と迫っています。ですから、焼却も埋め立てもしない「リサイクル」を進めることがさけばれているのです。
でも、一見「良いこと」のように見えるリサイクルには、実は様々な問題があります。まずは、分別の問題。ペットボトルに代表されるPETであれば、単独の材質で集めますから、砕いて溶かし、同じPET製品である洋服につくりかえるなど、リサイクルは比較的簡単です。しかし、それ以外のプラスチックは、基本的には種類を問わずまとめて集められています。その場合、リサイクル方法は限定され、油化・ガス化等の、化学原料の状態にまで戻すリサイクルが主となります。しかし、それには大量のエネルギーや資源やお金が必要になるという問題点があります。そして、そのリサイクル原料の効率的な運搬のために、多種類のプラスチックが混在した状態での圧縮・梱包作業が行われることになり、これが今回のような問題をも引き起こしているわけです。
そして、そもそもリサイクルそのものが問題なのです。例えばペットボトルで考えてみましょう。石油→ペットボトル→フリース→クッション材→固形燃料とリサイクルされ(同じ製品をつくらないのは、リサイクルによって品質が低下することと、もし同じ製品をつくるとしたら、お金がかかりすぎることが理由です)、最後に燃料として燃やされて、結局はなくなってしまいます。リサイクルとはいっても、一方通行ですから、原料の石油の消費は止まることがありません。つまり、リサイクルをいくら進めても、大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却には結びつかず、地球環境問題の根本的解決にはならないのです。
〈廃プラスチック中間処理施設にたよらない方法を求めて〉
廃プラ中間処理施設をつくらずにすむ方法はあるのでしょうか??きっとあると思います。ただしそれは、決して楽にできるものではなく、行政も企業も市民も、たいへんな努力をしなければ実現できないでしょう。ですが、単なる一時的なごみ問題としてだけでなく、私たちの将来を左右する重要な環境問題として考えてみれば、今そうした努力を怠るべきではないのではないでしょうか。
プラスチックの分別の問題について考えてみましょう。ヨーロッパでは、プラスチックを7種類(6種類+その他)に分別し、なるべく材質ごとに効率よくリサイクルを進めるような取り組みが行われています。私たちもこれに習い、プラスチックをなるべく細かく分別するのも、一つの手段です。いったん混ぜてしまってからでは、分けるのがとてもたいへんですから、私たちが捨てるときに分別しなければなりません。それはかなりの労力になってしまいますが、もしできれば、廃プラスチックの圧縮・梱包処理の必要性も非常に小さくなると思われます。
また、私たちが消費するプラスチックの種類を、スーパーやデパートなどにも呼びかけるなどしながら、リサイクルできるものや、生分解性(微生物の働きによって分解される)プラスチックなど、なるべく環境に負担をかけないものに限定していくのも良いでしょう。こうした取り組みが徹底されれば、処理しなければならない廃プラスチック容器の量を、大幅に減らすことができるでしょう。
そして、何よりも一番良い方法、それは「私たちがごみを出さないこと」です。ごみがなければ、焼却も埋め立ても、そして廃プラ中間処理の問題も、起きようがありません。もちろん「ごみを全く出さない」というのは実際には無理ですから、これは極端な話をしただけのことですが…。
しかし「ごみを減らす」ということでしたら、私たちの心がけ次第で、今日からでも始められるはずです。いきなりごみをゼロにしようと意気込まなくても、ちょっとしたことからで良いのです。「買い物袋を持ち歩き、レジ袋をもらわない」「野菜や果物を買うときは、ラップされたものでなく、裸売りのものを選ぶ」など、アイデアはいくつもあると思います。「今日800gのごみを出していたら、明日は799gにする」そんな気持ちで、小さくても実行できることを積み重ねていく…。一人ひとりが減らせるごみの量は少なくても、それを何万、何十万の住民が取り組むようになれば、どうでしょう。いつのまにか、処理するごみの量は大幅に減っていることでしょう。プラスチックごみにしても、量が少なければ、中間処理施設は黒字操業できなくなるわけです。そんな施設を民間企業が建てるわけがありません。
「環境の世紀」と呼ばれる21世紀。私たちが目指すべきものは、ごみの出ない持続可能な社会です。その目標を掲げて私たち一人ひとりが日頃から真剣に取り組むことができれば、廃プラ中間処理施設の計画中止は、あくまでその通過点として、必ず見えてくるのではないでしょうか。希望を持って、さあ、行動しましょう!
〈作成/発行〉
町田市廃プラ施設問題を考える八王子・多摩・相模原・町田市民の会
〈問い合わせ先〉
メール・アドレス:Hiplastic@yahoogroups.jp
頂いたのがワードファイルだったので、長くなってしまった!
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皆さん、13日が勝負です!
「町田市廃プラ施設問題を考える八王子・多摩・相模原・町田市民の会」広報係:本橋哲也(南大沢在住、東京都立大学勤務)
13日の日曜日は晴れますね。
ひょっとして皆さんの中には、13日は問題を考える集会だし、10月23日の説明会と違って、それほどたくさんで押しかけなくてもいいんじゃないの、と思っておられる方がいるかもしれません。でもそれは大きな間違いだと思います。
もしそのような他人任せの人が多くて仮に数百人しか日曜日に集まらなかったとしたら、この廃プラ施設は確実にできてしまいます。数千人なら少しは希望が生まれるので、これからも長期戦で闘う準備ができるでしょう。そして、もし今夜と明日と当日の朝と、私たちがあらゆる努力を払って声を掛け合い、もし1万人を超える人数で集まることができるとしたなら、この施設建設計画は一気に頓挫します。
13日にはTBS、日テレ、NHKをはじめ、テレビ・新聞各社がやってきます。そのカメラの前で万単位の人波を見せることができれば、それは確実に町田市行政を追いつめ、勝利への道につながることでしょう。
私たち自身の生活です、未来です、そしてプラスチックごみは私たち自身が毎日出し続けているのです。私たち自身がそれについて考え、その処理について責任を持つ権利を獲得する最大のチャンスです。
あと2日間、電話、ファックス、メイルとあらゆる手段を動員して、13日には1万人以上が集結するよう呼びかけようではありませんか!
最後まであきらめず、しかし余裕と笑いをもって頑張りましょう。
町田市廃プラ施設問題を考える八王子・多摩・相模原・町田市民の会
町田市小山ヶ丘廃プラスチック中間処理施設問題資料
町田市小山ヶ丘
廃プラ施設
ここが問題!!
0. ゴミ問題はみんなの問題:私たちの目指すもの
1. 廃プラ中間処理施設は本当に安全なのでしょうか?
〈プラスチックをただ「圧縮する」だけでも、様々な有害物質が発生する!〉
〈現在の技術では、発生した有害な化学物質を完全には取り除けない!〉
〈すでにある廃プラ中間処理施設の周辺では、何の問題も起きていないの?〉 ☆☆ところで、「杉並病」ってなに?☆☆
2. 町田市の行政上の問題点:何故住民たちが立ち上がったのですか
〈二つの地域で建設が阻止される〉
〈三度目に小山ヶ丘に?〉
〈市の説明逃れと条例違反〉
☆☆「町田市住みよい街づくり条例」ってなに?☆☆
〈1万3千人以上の署名つき要望書の提出〉
〈市主催の説明会は「懇談会」に、・・・そして用地は業者の手に〉
☆☆ちなみに業者の安全意識は?☆☆
3. 廃プラスチック中間処理施設なんていらない…ですましていいの?
〈問題点はどこにある?〉
〈廃プラスチック中間処理施設にたよらない方法を求めて〉
0. ゴミ問題はみんなの問題:私たちの目指すもの
今、町田市はプラスチックゴミの中間施設の建設を、多摩丘陵の西端に計画しています。これは町田市民のみならず、隣接する八王子・多摩・相模原市民にも健康被害が懸念されるものです。町田市には「住み良い町づくり条例」という市民と行政が協力し住環境をつくりあげることを唱った、すばらしい理念があるにも関わらず、この計画は住民不在のうちに進められました。このパンフレットは、廃プラスチック中間処理施設問題に関して町田市の行政上の問題点、施設の安全性に関する基礎知識、そして、プラスチックゴミ問題に対する代替案をまとめたものです。
誰もこのような施設を近所に作ってほしいという人はいないでしょう。でも、「ウチでなければいいから、どこかに作っておいてよ」、「どこかで処理しているから、ダイジョウブ」という安易で無責任な発想で、ゴミを出し続けていては問題は解決しません、いずれどこかで私たちはツケを払うことになるでしょう。私たちは、行政とともに知恵を絞り、手間をかけ、汗をかき、この問題に取り組んでいく、その第一歩としてこの運動を立ち上げました。
プラスチックゴミ処分の問題にはまだ100%の正解はありません。だからこそ、行政だけではなく、市民の取り組みによって解決される部分もかなりあるはずです。私たちの命と健康だけではなく、私たちの子どもたち、そして、その子どもたちの命と健康のために、今できることを模索していくことは、行政・住民の区別なく私たち全てに与えられた使命でしょう。この問題を契機に、私たちの住む多摩地区がこのような取り組みのモデルとなることこそ私たちの願いです。
1.廃プラ中間処理施設は本当に安全なのでしょうか?
さて、町田市が建設を進めようとしている廃プラ中間処理施設ですが、これまでに得られている科学的知見をもとに考えてみると、とても安全なものとはいえません。
〈プラスチックをただ「圧縮する」だけでも、様々な有害物質が発生する!〉
かつてプラスチックの圧縮処理は、「燃やしたり熱を加えたりするわけではないので、何ら有害な物質は発生しない」と考えられていました。ところが、それは大きな誤りだったことが、杉並病の社会問題化をきっかけに明らかとなったのです(参考資料1)。
プラスチックが圧縮されると、こすれたり、つぶれたり、やぶれたりすることで、様々な化学物質が発生します。しかも、それらの化学物質の中には、人の体に害のあるものも多数含まれているのです。このことは、不燃ごみのような様々な「混じりもの」を含まない、純粋なプラスチックを使った実験で確かめられています(参考資料2,3)。
「杉並中継所の圧縮処理はプラスチック以外の不燃ごみを含むが、今回計画している施設はそれを含まないため、杉並病を引き合いに出すのは不当だ」という意見があります。確かに、両施設は全く同一のものではありません。しかし、圧縮されたプラスチックそのものから様々な有害物質が発生するわけですから、杉並病と同様の健康被害が生じることは十分にありえるのです。また、北河内4市リサイクル施設組合が行った、実施設による廃プラ圧縮の模擬試験では、様々な有害物質だけでなく、毒性のわからない未知の化学物質も数多く発生しています(参考資料4)。つまり、今回町田市で建設が計画されている廃プラ中間処理も、操業が始まれば、プラスチックの圧縮過程で有害な物質が「発生する」ことはまちがいないでしょう。
〈現在の技術では、発生した有害な化学物質を完全には取り除けない!〉
次に問題となるのが、発生した化学物質を外へ出さないために、きちんと取り除くことができるのか、ということです。北河内4市リサイクル施設組合が行った実験では、活性炭により、廃プラ圧縮処理によって発生した化学物質の90%以上が除去されたとしています(参考資料4)。しかし、その中には未知の化学物質も多く、たとえ90%除去できたとしても、残りの10%の化学物質群がどれほどの影響を及ぼすかについては、現在の知見では判断できません。また、処理するプラスチックの量が増えれば、「10%」に相当する絶対量も増えるため、この「90%以上が除去された」という結果も、周辺環境への安全性を証明するものではありません。しかも、これは新品の活性炭を用いた実験結果です。除去能力は徐々に低下していくのが普通ですから、周辺の大気中へ出ていく化学物質は、活性炭を交換するまで(杉並中継所では約1年で交換;参考資料1)、日に日に増えていくと言って良いでしょう。
また、杉並中継所のデータでは、化学物質の種類によっては、活性炭による除去効果がほとんどないことが示されています(参考資料5)。つまり、現在の除去技術の性能には限界があることは明らかであり、活性炭を用いるから「安全である」「周辺環境に影響を及ぼさない」などという主張は全く成り立たないのです。
〈すでにある廃プラ中間処理施設の周辺では、何の問題も起きていないの?〉
当会のメンバーが、町田市が計画しているものと同様の廃プラ中間処理施設を視察したところ、施設周辺では草木が枯れ、自身も喉や目の痛みを感じたそうです。これはあくまで感覚的・視覚的なものであり、科学的な調査を行ったわけではありませんが、これは無視できない事実であると考えます。
杉並中継所周辺の大気を調べた結果から、他の地域の大気には通常見られないような、特有の化学物質が大量に含まれていることが明らかになっています。しかもその内容には、人の体に有害な物質だけでなく、未知の化学物質も見られます(参考資料6)。他の廃プラ中間処理施設においても同様に、周辺の大気中に有害物質が含まれ、それによる健康被害が生じている可能性は大いにあります。ただ、杉並以外では、大気の分析や、健康被害の疫学的な調査がほとんど行われていないのです。
しかし、「すでに全国で多数稼動している廃プラ中間処理施設において、周辺で健康被害が起きているという話を聞かない」というのは、安全性の説明としてはあまりに稚拙です。なぜなら、それは「聞いていない」のではなく、「(調べるべきなのに)調べていない」だけなのですから。
参考資料
1. 燃やさないプラスチックゴミ処理から環境汚染物質が発生する機構─表面科学からの考察、津谷裕子
2. 廃プラスチックの圧縮処理過程において発生する化学物質に関する研究、崎山大輔、東京大学大学院平成16年度修士論文
3. 摩擦によりプラスチックから発生する化学物質に関する研究、中島大智、東京大学大学院平成16年度修士論文
4. 北河内4市リサイクル施設組合専門委員会報告書、平成17年3月
5. 杉並中継所における活性炭使用前後の濃度比較による除去効果の考察、「廃プラ処理による公害から健康と環境を守る会」事務局
6. 杉並病の調査結果の解読、津谷裕子・化学物質による大気汚染を考える会・加藤光ニ・杉並病裁判原告予定団
☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ところで、「杉並病」ってなに? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆
本文でも触れた不燃ごみ中継所が、1996年春に杉並区井草にできてまもなく見られるようになったもので、主な症状は、目や喉の痛み、視力障害、めまい、皮膚のかぶれ、頭痛、倦怠感、呼吸困難など多種多様で、その症状・程度も個人差が非常に大きいのも特徴です。都の調査委員会は中継所の汚排水からの硫化水素と公園の防腐剤を原因としていますが、プラスチックごみの中間処理の過程で発生する様々な化学物質がこのような症状を引き起こしている可能性を指摘する科学者もおり、懸念は払拭されていません。実際に、病態・原因ともに未解明で、国内外において今も研究が続けられています。いわゆる「シックハウス症候群」などと同じ「化学物質過敏症」の一つであるという可能性があるのです。
町田市が計画している施設は杉並のものと同じではありませんが、プラスチックを圧縮処理するという点からすると、同様のリスクがあるということは言えるでしょう。ちなみに、杉並区は杉並中継所の廃止を発表しています(2014年度をめどに)。
2. 町田市の行政上の問題点:何故住民たちが立ち上がったのですか
私たちは大切な家族と共に「健康で文化的かつ個性ある地域生活を享受」(町田市住みよい街づくり条例第二条)するささやかな夢をはぐくみながらこの緑豊かな地で生活してきました。家族の幸せと健康を願う私たちの思いは間違っているのでしょうか。
市民の人間として当然のいのちと安全を守るために市の行政はあるはずです。それと同時に今日とみに緊急性を増しているゴミの問題はまず私たち住民の問題です。どうしたら環境の負荷が少ないような実効ある取り組みが可能かを、住民は生活の中から模索し行政と協力して広く専門家の考えを聴取しながら、その場しのぎではない中・長期的な展望をもって早急に取り組むべき課題であると確信しています。そのような住民に開かれた姿勢を期待される市の行政が、その行政がますます増加するプラスチックゴミを前にして、その減量や総合的な解決策を市民と共に真剣に探す街づくりとは反対に、安全性も確認しないまま、一地域をいわば切り捨て住民のいのちと生活の犠牲を強いる形で廃プラ処理施設を秘密裏に作ろうと進めて来たことが発端でした。
これまでの経緯
〈二つの地域で建設が阻止される〉
町田市はまず小山田桜台地区、ついで鶴間地区を候補地として選びましたが、いずれも施設による健康被害を危ぶむ住民の強い反対にあって撤回に追い込まれたいわくつきの処理施設です。これに懲りた市は、施設の安全性を検証しないで建設を急いだことが住民の反対を招いた原因であるにもかかわらず、これまでの5年間、安全性の追及の努力を怠ったまま、今回は住民に知られないように秘密裏に建設計画を進め、住民が気づいたときには後戻りができないような法的契約や手段を先行するという、最悪の方法を決定したのです。
〈三度目に小山ヶ丘に?〉
まず町田市は2004年11月に処理用地の候補として小山ヶ丘2丁目を打診し始めました。その地が八王子市の第一種住宅地域100メートル以内の至近距離であり、多摩市や相模原市とも隣接している地であること、子供たちが恵まれた自然環境の中で学び遊ぶ学校や公園が密集していて中学校建設予定地のすぐ傍であることすら思い至らなかったようです。
市は今年(2005年)の5月26日に東京都と協定書を結び、6月10日委託業者として業者を決定しました。市の決定を受けた東京都・多摩ニュータウン土地処分委員会は都有地E-7を業者に処理施設用地として売買を決定し、7月26日には東京都が業者と契約を結びました。業者は保証金として土地代金の20%を支払い、3ヵ月後の10月26日に残金を払えば土地は民間業者のものとなる契約内容だったのです。
〈市の説明逃れと条例違反〉
このような段取りを済ませた後で、市は昨年施行されたばかりで住民になじみのない「住みよい街づくり条例」の規則を使って9月28日に、佐久間による説明会を実施し、はじめてこの廃プラ中間処理施設の建設計画を付近の関係住民に知らせることにしました。しかし、その説明の対象となる関係住民は、半径50メートル以内のカインズ、オートウエーブ・・・といった僅かな法人関係者等(地元の町内会・小山連合の代表も含む)だけでした。その会合を漏れ聞いて急遽駆けつけた多くの近隣住民は、市が欠席したままで業者側のみによる説明に納得せず、こうした責任逃れに激しく抗議して説明会は不成立に終わりました。
市は住民に対するこの件で始めての大事な説明会に出席しない理由として、これも「住みよい街づくり条例」の規則を盾にとって、関係住民に対する説明会は事業者、すなわち佐久間が行うことであると釈明して、住民の批判の矢面から逃れようとしました。しかし市の清掃事業の一環としての事業である以上、事業者としての責任は市にあることは明白です。しかも、市は佐久間が都と売買契約する際に必要とする資金の銀行融資を受けるために「受託候補者決定通知書」を発行し、契約の便宜を図っている一体的な関与から見ても、市は民間業者に委託したのだから事業者は佐久間で、市には事業者としての説明責任がないというのは筋の通らない無責任な話です。
多くの住民の強い批判を招いて、市は、地元住民に向けた市主催の説明会を10月23日に行うことにしました。
☆☆☆☆☆☆☆☆ 「住みやすい街づくり条例」ってなに? ☆☆☆☆☆☆☆☆
町田市はホームページでこの条例を「市民、事業者、市が一緒になって(協働により)、お互いの責任や義務(責務)を尊重しながら、住民主体の取り組みを推進し、地域や地区の個性を生かした住みよい街づくりを実現していくための仕組みを条例として定めたものです」と説明しています。
その条例の中に(市の責務)と書かれた部分には、次のような条項があります。
第4条 市は、この条例に基づいて実施する街づくりに関し、市民が参加する条件を整備し、市民の主体的な街づくりの推進に必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 市は,街づくりに係わる施策を総合的かつ効果的に推進するため、地域及び地区の状況、街づくりに係わる施策の実施状況その他街づくりに関する情報の収集、調査及び研究を行うとともに、市民に対する積極的な情報提供に努めるものとする。
3 市は、この条例に基づいて実施する街づくりに関し、市民及び事業者の意識を高めるために必要な措置を講じ、理解及び協力を促すよう努めるものとする。
論語読みの論語知らずという言葉がありますが、町田市自身が「住みよい街づくり条例」に大きく違反していることを認識すべきです。
〈1万3千人以上の署名つき要望書の提出〉
9月28日の時点でようやく事態の重大さを知った近隣住民たち(町田市および至近距離に位置している八王子市の住民たち)は10月26日の業者の残金決済をもって土地の所有が佐久間に移るのを阻止しようとすると同時に多くの住民がこの計画に反対であることの意思を表明するために署名による要望書を提出することを合議し、わずか数日間で1万3千人以上の署名を集め、10月20日に東京都の石原都知事・都市整備局長と、町田市の寺田和雄市長宛に要望書を持参しました。
しかし、都は町田市からの要請・推薦に従い既に佐久間と7月に売買契約を締結済みであり、都が現時点で契約解除することはできないという態度を覆すには至りませんでした。但し、住民は9月28日に至るまでこの廃プラ処理施設建設のことを全く知らされず、計画進行の前提条件である住民への周知がなされず、しかもそれを知った住民の多くが署名人数にも表れているように反対を表明しているのであるから、住民の理解・同意という基本が崩れている現実を強調しました。それに対し、都の担当責任者は、町田市は事業責任者として住民に十分説明を行うべきであり、その点は都からも伝えると言う回答でした。都の説明によると、用地の売買は処理施設の認可を意味するものではなく、佐久間が断念するか、市が操業を許可しない可能性が排除されたわけではないということでした。
町田市役所では、市長宛に要望書を持参した3人の住民代表のうち2名しか入室させない、規則に違反したら警察を呼ぶといった高姿勢で低次元の対応でした。
〈市主催の説明会は「懇談会」に、・・・そして用地は業者の手に〉
10月23日に町田市の市民文化センターで開かれた市主催の説明会には、3日前に1万3千人の署名が届いているにもかかわらず沈黙したままの市長は、参加住民の再三の強い要求に応えることなく最後まで姿を現さず、鬼頭清掃部長のみの出席でした。会場は漏れ聞いて危機意識を持って駆けつけた多数の住民や、処理施設の影響を至近で強く受けるのに全く対象外にされていた八王子の四季の丘や南大沢、相模原市、多摩市の住民を含め千数百人で溢れ、入りきれない状況でした。住民の合意なしで事を進めておきながら、事後に『説明した』と言う形をとるだけのセレモニーとしての『説明会』を認めないという強い抗議に、市も「説明会」から「懇談会」(話し合い)に切り替えざるをえなくなりました。
この会合での住民の強い反対にもかかわらず、町田市の斡旋で東京都が業者と用地の売買契約を7月に交わしていた結果10月26日には残金の支払いと同時に用地の所有権は業者に移行してしまいました。佐久間が取得を断念すればこの売買契約も解約になった筈ですが、会場に居合わせた佐久間社長は「何があろうと操業に向けて粛々と手はずを整える」旨断言していました。事実この計画がつぶれても業者は違約金として町田市から相当額を支払われるため、今の時点で断念する筈のない筋書きでした。前回の候補地の鶴間の時も、町田市は計画の中止に伴い市民税から一千万円近い違約金を業者に支払っています。住民への説明の手順を後回しにした間違った行政の付けが市民の負担を招いています。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ ちなみに業者の安全意識は? ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
今回事業を請け負う業者は、千葉で稼動中の同様の処理施設でも、義務はないとして、大気・水質・土壌汚染調査を今までに一度もしていません。町田市で稼動しても、そのような義務はないので、一切汚染状況のデーターは取るつもりはないそうです。都の許可を得て稼動する以上、何か今後問題が生じても、たとえ住民の命に関わる健康被害が出たとしても自分たちには責任はないと、これまで問い合わせた住民に答えています。
3. 廃プラスチック中間処理施設なんていらない…ですましていいの?
最後に、どうすればこの施設をつくらずにすむのかを考えてみましょう。「安全性が確認されていない施設を建てるべきではない」というのは確かに正論です。が、施設の計画をただ中止に追いこめば良いかというと、この問題はそんなに簡単なものではありません。
〈問題点はどこにある?〉
そもそも、なぜ廃プラ中間処理施設が建てられようとしているのでしょう?もちろん「わざと環境を壊すため」ではありません。それなりの理由があってのことなのです。
今や私たちの暮らしに欠かせないものとなっているプラスチック。その便利さについては、言うまでもありません。しかし、それらはいつかごみになる日が来ます。何らかの方法で処分をしなければ、私たちの家はプラスチックごみでいっぱいになってしまうでしょう。
そこで、焼却や埋め立てを行うわけです。ところが、プラスチックを焼却すると、高温になるため炉を傷めたり、有害なガスが発生したりします。また、埋め立てるにしても、最終処分場を無尽蔵に増やせるわけではなく、その限界が刻一刻と迫っています。ですから、焼却も埋め立てもしない「リサイクル」を進めることがさけばれているのです。
でも、一見「良いこと」のように見えるリサイクルには、実は様々な問題があります。まずは、分別の問題。ペットボトルに代表されるPETであれば、単独の材質で集めますから、砕いて溶かし、同じPET製品である洋服につくりかえるなど、リサイクルは比較的簡単です。しかし、それ以外のプラスチックは、基本的には種類を問わずまとめて集められています。その場合、リサイクル方法は限定され、油化・ガス化等の、化学原料の状態にまで戻すリサイクルが主となります。しかし、それには大量のエネルギーや資源やお金が必要になるという問題点があります。そして、そのリサイクル原料の効率的な運搬のために、多種類のプラスチックが混在した状態での圧縮・梱包作業が行われることになり、これが今回のような問題をも引き起こしているわけです。
そして、そもそもリサイクルそのものが問題なのです。例えばペットボトルで考えてみましょう。石油→ペットボトル→フリース→クッション材→固形燃料とリサイクルされ(同じ製品をつくらないのは、リサイクルによって品質が低下することと、もし同じ製品をつくるとしたら、お金がかかりすぎることが理由です)、最後に燃料として燃やされて、結局はなくなってしまいます。リサイクルとはいっても、一方通行ですから、原料の石油の消費は止まることがありません。つまり、リサイクルをいくら進めても、大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却には結びつかず、地球環境問題の根本的解決にはならないのです。
〈廃プラスチック中間処理施設にたよらない方法を求めて〉
廃プラ中間処理施設をつくらずにすむ方法はあるのでしょうか??きっとあると思います。ただしそれは、決して楽にできるものではなく、行政も企業も市民も、たいへんな努力をしなければ実現できないでしょう。ですが、単なる一時的なごみ問題としてだけでなく、私たちの将来を左右する重要な環境問題として考えてみれば、今そうした努力を怠るべきではないのではないでしょうか。
プラスチックの分別の問題について考えてみましょう。ヨーロッパでは、プラスチックを7種類(6種類+その他)に分別し、なるべく材質ごとに効率よくリサイクルを進めるような取り組みが行われています。私たちもこれに習い、プラスチックをなるべく細かく分別するのも、一つの手段です。いったん混ぜてしまってからでは、分けるのがとてもたいへんですから、私たちが捨てるときに分別しなければなりません。それはかなりの労力になってしまいますが、もしできれば、廃プラスチックの圧縮・梱包処理の必要性も非常に小さくなると思われます。
また、私たちが消費するプラスチックの種類を、スーパーやデパートなどにも呼びかけるなどしながら、リサイクルできるものや、生分解性(微生物の働きによって分解される)プラスチックなど、なるべく環境に負担をかけないものに限定していくのも良いでしょう。こうした取り組みが徹底されれば、処理しなければならない廃プラスチック容器の量を、大幅に減らすことができるでしょう。
そして、何よりも一番良い方法、それは「私たちがごみを出さないこと」です。ごみがなければ、焼却も埋め立ても、そして廃プラ中間処理の問題も、起きようがありません。もちろん「ごみを全く出さない」というのは実際には無理ですから、これは極端な話をしただけのことですが…。
しかし「ごみを減らす」ということでしたら、私たちの心がけ次第で、今日からでも始められるはずです。いきなりごみをゼロにしようと意気込まなくても、ちょっとしたことからで良いのです。「買い物袋を持ち歩き、レジ袋をもらわない」「野菜や果物を買うときは、ラップされたものでなく、裸売りのものを選ぶ」など、アイデアはいくつもあると思います。「今日800gのごみを出していたら、明日は799gにする」そんな気持ちで、小さくても実行できることを積み重ねていく…。一人ひとりが減らせるごみの量は少なくても、それを何万、何十万の住民が取り組むようになれば、どうでしょう。いつのまにか、処理するごみの量は大幅に減っていることでしょう。プラスチックごみにしても、量が少なければ、中間処理施設は黒字操業できなくなるわけです。そんな施設を民間企業が建てるわけがありません。
「環境の世紀」と呼ばれる21世紀。私たちが目指すべきものは、ごみの出ない持続可能な社会です。その目標を掲げて私たち一人ひとりが日頃から真剣に取り組むことができれば、廃プラ中間処理施設の計画中止は、あくまでその通過点として、必ず見えてくるのではないでしょうか。希望を持って、さあ、行動しましょう!
〈作成/発行〉
町田市廃プラ施設問題を考える八王子・多摩・相模原・町田市民の会
〈問い合わせ先〉
メール・アドレス:Hiplastic@yahoogroups.jp
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